YASOU SHUUTEI NO PURIN TEIDAN

夜送舟艇のプリン艇団

TEXT ONLY EDITION

榛名 暒

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初回掲載2026年9月4日

第4章

(四)

 表は相変わらず静かな雨が降り続いていた。不思議なほどに落ち着いている雨音。部屋の中に広がる空気も沈められたものだった。

 しかしその中央、正確には皆が囲む黒の漆塗りの座卓中央に、極めて浄らかで強い神力を帯びた青い光が突如としてぽわっと現われた。

「なーに? 今更。どうかしたの?」

 ルートヴィッヒはその光を目を細め見ている。彼にとって突然現われた光は大して驚くものでは無いようだった。

 しかしアレックス、イタチは身構え光を注視する。

「おや? いきなり途中参加をされても、貴方の分のプリンまでは用意してませんよ」

 一方でカルスに至っては、もうその存在に対して会話を始めていた。

「ボクはオヤツ持参でちゅ~~。マウス」

 光の中で小さな何かがクルクルクルッと回転している姿が見えた。それは小型のネズミ。いや、もともとネズミは小さいものだ。しかしそれに輪をかけて小さい。人間の五歳児の手のひらに収まるほどの大きさだった。しかもそれが言葉をしゃべっている。

「何だ? 私は草食のイタチ。生のネズミは食べないぞ」

 テトテトテトと焦げ茶色の可愛らしい動物がネズミに近づいて「ふんっ」と、鼻を鳴らす。イタチのモンすけも身長が三〇センチ位しかない小型の動物だった。しかしそれに比べてもネズミはその六分の一ほど。ネズミにとってはモンすけでさえも脅威的な存在に映りそうなものだった。

「もう。何を言ってるんですか? これだから考え無しのイタチは困りマウス。そんな事より、今日からここのマスコットは、このちっちゃくて可愛らしいロボロフスキーハムスターの香川亮がやるんですから。お前みたいな無粋で不細工、へちゃむくれ顔のイタチはとっとと、どーぶつ森へお帰りでちゅ~」

「な、なんだと……!!」

 ネズミを包んでいた青い光が収まった。そこには黄色にグレーの毛が混じったまるっこいネズミが直立し、そして何故か前足の両脇にクッキーらしき焼き菓子を抱えて現われた。が、そのネズミが姿を現すなり、モンすけは一歩後退り「な、なぜここへ……」と、慌ててカルスの方へと飛び込んだ。

「相変わらずネズミがお好きなのですね、風神さんは」

「可愛いボクには可愛い動物の姿がお似合いなんですよ、大地の神」

 ネズミは少し体を反らしてみせた。おそらく胸を張った態度、なのだろう。それからすぐにテッテッテッテッと二足歩行でランベルセの前までやって来る。

「香川さん。いかがされたのですか、唐突に。我々の邪魔をしに来たのですか」

「ちがいマウス」

 こんななりをして、今更何をしに来たのだろう。と、ランベルセは想像もつかなかった。と、いうか。ここへこの方が来た事は、ランベルセや父の目論見とは違う事件でも起こってしまったのだろうか。

「ここにわざわざ来てあげたのは、お前の奥さんとママからの伝言をしに来たんです」

「奥さんと……ママって、アンナと母上のことでしょうか」

「はい。伝言はルートヴィッヒおじさんにもあります」

 ネズミは首をキュッと右へと傾ける。

「なーに? ソフィアが私のことを愛してるってことなら分かってるけど」

「そういう自惚れは言ってませんでした」

「あっそ。じゃあ何?」

「寄り道してないで、とっととわたしの親友の娘を助けて欲しい。もしすぐにやってくれないなら、わたしとアンナで助けに行きます、って言ってたんでマウス。だから早く目的達成に行った方がイイでちゅね~」

 そしてネズミはもう一度、正面を向いた。

「ボクは心清らかなネズミです。そしてそれゆえ心清らかな生命の味方なんです。しかしこの世界は残念なことに、心清らかでない者もいます。剰え、そんな心汚い醜い者に、心清らかな者が『騙されて』一緒に生きなければならない事態も起こるマウス」

「香川さん。突然やって来てなんですか、いきなり人を汚物扱いするとは」

 ネズミは体から『こんもり』もり上がっている頭の部分を左右に振った。あまりに小さいネズミなので首が体に埋まって見えなくなっている。だが「ふー」という、ため息も聞こえてきたので、どうやら嘆き、を表しているに違いない。

「心汚い者。つまり、い、き、な、りっ!! 神様が住んでいる場所をフッ飛ばすような人とか」

「あ。それは私が壊しちゃったんですよ。すみません、つい、ノリ、というものです」

「うぅ……。か、神様に暴言を吐き散らかすような人とか」

「それは坊が人助けを邪魔したからじゃない。大人しく素直に私の要求に従っていれば、私も黙っていたけどね~」

「うぅ……。挙句の果てに、神様へ向かってミサイルを撃ち込む、という前代未聞の暴っ挙っ!!」

「夜送舟艇に搭載した兵器の威力を試してみたかったのです。丁度そこへ、『良い的』が現われたゆえ、必然です」

「ランベルセッ!! お前が一番、悪いコちゃんですぅーっ」

「両親からはお前がこの世の中で一番良い子だ、と言われて育ちました」

「んっもーーーっ。信っじられなーーいでーーすっ。この全界で一番良い子はボクなんですっ。パパがそう言ったから間違いないんですよ~だ」

 ネズミはそう言った後、短い舌をチロッと出してみせた。あいにく両腕がクッキーを抱えているため、目の下あたりを引っぱることまでは出来ない。しかし明らかに〝あっかんべー〟のつもりだろう。上司は気に入らない事があると、今時の子どもでさえやらないような行動を取る事がある。

「ちょっと、坊。そんな事を言うためにわざわざ来たの?」

 上座からルートヴィッヒの声がした。

「あのね、私達だって最善を尽くしてるんだよ。ソフィア達は気短だから、私達が何もしていないように思っているかも知れないけど」

「そうじゃありません。彼女たちはおじさんが、寄り道したり買い食いしたり、公園でかくれんぼをしちゃってるんじゃないか、と心配しているだけです」

「そんなこと、する訳ないじゃない。っていうか、寄り道なんて一度もやった事はないよ。ね、パルティシオン」

 父の問いかけにランベルセはすぐ返事が出来なかった。安易に「お父さんは嘘つきだ」と答えると、後々、面倒を言われる事に間違いない。

「風神さん。たしかにこちらの方々の奥様達が心配をされるお気持ちは分かります。おそらく、私の主である三代目輝星剣士もゼンルさんが悪者に捕まった、と知れば〝自業自得だよ~。いつもあたしのことを殴ったり叩いたりするから罰が当たったんだよっ〟と、おっしゃり、しかし何だかんだで〝助けに行こうよ〟と、心配をするはずです」

「でしょでしょでしょ~。女子ってば誰かがピンチに陥ると、すぐに行っちゃうんです。〝〇〇ちゃんがケガしちゃったんだって〟と聞けばすぐに保健室へ駈け込んでいく。そーゆー性質なんでちゅよ~」

「はあ。しかし貴方のお兄さんもそういう傾向がありますけど」

「リムズ兄さんはあれがいーんですっ。頼りになるスゴイ兄さんなんでちゅ」

 と、今度はカルスの方へ向けてネズミは舌をピッと出してみせた。しかしネズミのあっかべーなどには全く堪える訳も無く、やれやれとカルスは首を振る。

「香川さん。アンナと母の意思は重々承知をしています。そして我々もただここで会合をしている訳でもありません。今度はこちら側から攻めようと考えているのです」

 ランベルセはネズミを見た。

「何か考えがあるマウスか?」

「それほど大それた事ではありませんが」

 ネズミは持っていたクッキーのうち、グリーンのゼリーが中央に飾られている方を両手で持つと、もぐっもぐっとゆっくりと口を動かし食べ始めた。見た目だけは可愛らしい小動物としての画に見える。

「私は向こうの要求など無視をし、盗賊団らしくこの武装船団を奴ら以上の悪行を重ねる組織にしようと思っています」

 その発言にネズミは「お前みたいなイイ子ちゃんの塊のようなお坊ちゃんが出来ると思ってるんでちゅか~」と、クッキーをよく噛んでいる合間にそんな事を言ってくる。だが周囲からも同じような疑問と、自分らの株をこれ以上、下げるのはちょっと嫌だ、という意見も上がった。

「しかし。我々がプレンティス救出の為に動いている、と敵側に気取られては相手の思う壺。彼女を楯に、もっと厄介な要求をされるかも知れません」

「確かに天使さんのおっしゃる通り、こちらの立場を強くしておく必要はありますけど」

「ですから逆説的に、向こうがこちらへすり寄ってくる振る舞いをすればいい。こちらの立場を少しでも格上だと思わせるべきなのです」

「でもさ。そんな面倒をしなくても、私や魔道士君の魔法を炸裂させれば、向こうはビビッて投降してくるんじゃない?」

「父上。先程、魔道士殿には夜送舟艇の操縦をお任せすると決定したではありませんか。両方をさせるつもりですか」

 ランベルセはカルスの方を見た。彼はフェレットの頭を撫でながら「そうですねぇ」としばし考える。

「私としてはやってみなければわからない、としか答えられません。しかしやって駄目だった場合、その対応策も用意する必要が出てきます。そんなものを準備をするのであるなら、頭目がおっしゃる通り、こちらが悪党として上手であるとアピールする方が妥当かと思います」

 カルスはため息を吐く。確かに彼の気持ちは分からないでもない。下がりまくっている自分らの評価の株が、悪行を重ねる武装艇団を装えば、最早、急降下し、地に着いてしまう。それどころか地下世界まで突き抜ける程の評判下落をするかもしれない。

 しかし。

「今回、我々の目的は捕らわれの身になっている人物を救うこと。それに最善を尽くすこと。評判の低迷は一時的であり、プレンティスを救出すれば評価は回復どころかうなぎ上りとなりましょう」

 紅の魔道士が本気で評判を心配しているとは思えなかった。何か他に思う所があるような気がランベルセにはしていた。だが一応、彼がそこを気にしているようにアピールするなら、フォローが必要だった。

 案の定、カルスは「一時的の悪評。それが逆転して思わぬほどの高評価。本当にそれが叶うというなら、まあいいですけど」と、しぶしぶ納得した。しかし彼は口をすぼめて、怪訝そうに半目をさせている。よもや、本気で評判を気にしているのかも知れない。本当にこの紅の魔道士という人は理解しがたかった。

「しかしそれ以上に、我々が胆に銘ぜなければならない事――敵の殲滅や奴らの目的を潰すことではない――それを絶対に忘れてはならない。
元を正せば、私は父上の申し出に応えたまでです。そして私自身も友人を危機から救い出したいと思ったから。つまり人質を無事に解放することが目的であり、その目的以上の事や以下の事をするつもりはありません。ですから、私の策はその目的達成へ向けての最善以外は考えていません。皆さんにもそれは承知して頂きたい。この武装艇団はその為にあることを」

 ランベルセはそう言って、一同を見渡した。

 現状、それぞれ抱えている事情は違っている。父は友人の娘を救いたいと思っている。だがこれに関しては最早、実質的には達成はされている。アレックスの姿でプレンティスはここにいる。だから父がこれ以上、この武装艇団に居座る理由は無い。しかし、アレックスがプレンティスだということは、ランベルセ以外に知らせる訳にはいかないので、当分はこのままでいるほかない。

 次に紅の魔道士カルスは、三代目輝星剣士がこの騒動へ首を突っ込まないように防衛策としてランベルセに手を貸している、と思われた。先程の『女子ってば誰かがピンチに陥ると、すぐに行っちゃう』と、ネズミが発言した女子の典型を、三代目輝星剣士は備えている。彼女がプレンティスの危機を知れば、すぐさまそれを助けに行こうとする。確かに彼女が加われば戦力になるかも知れない。が、それ以上に必要の無い騒動が巻き起こされる可能性も高い。三代目はそういうも兼ね備えている。カルスはそれを危惧し、穏便に済ませられるならそうしたい、と考えて今回、参加をしているのだろうと考えられた。

 しかしこちらも、もうプレンティスがここに居る事を分かっているようだった。それなのでこれ以上、拘らなくても良いと思われる。

 だが紅の魔道士カルスがこの時点でも武装船団から離脱を考えている気配は無かった。なぜかはわからない。これ以上、彼がここにいる目的は不明だが、しかし夜送舟艇を動かすことにまで自ら手を挙げた。だからこの先も力を貸してくれると考えても良いと思われた。

 そしてアレックスの姿になったプレンティスに至っては、一刻も早く夫を取り戻したいと願っている。ランベルセもそんな彼女の強い気持ちに応えたいと思うし、自分自身も親友の安否が非常に心配だった。だから現状は彼女とその夫、ウォルシオム夫妻の力になる為に行動をする事が基軸だった。

「承知頂きたいも何も、承知してるからここに居るんじゃない。大体、私は私の中にあるあっつ~~い正義感で、友人の子どもを助けようとしてるんだよ。君のように、親に言われて渋々やってる訳じゃ無いんだから」

「私も自分が好き好んでこちらへ入団しましたので、特に深い事を思ってやってはいません。強いて言えば、面白そうだから、でしょうか?」

 まあこの二人には、気持ちの裏側に何があったとしても、こちらが心配する必要だけは無い。それだけは明々白々だった。深く考えたところでよくわからない。付いてきたいなら勝手にそうしてもらい、但し、決まりだけは守ってもらいたい。それだけだった。

「僕は情けないが、今は執行役としての本懐を果たせない程に妻が心配なんだ……。済まない、みんな」

「私はマスコットなので、ここでイチゴやチェリーを食べていればその役割を果たしている事になるはずだ」

「何言っているんでちゅ~? ここのマスコットはボクがする事になったんでマウスよっ。へちゃむくれイタチは森へ帰れでちゅ~」

「私はへちゃむくれイタチではなく、モンすけ、という立派な名前がある」

「ボクだってロボロフスキーハムスター香川亮って名前があっりマウス。見た目も可愛らしいでマウスよ~だ」

 しかし問題はこの小動物らだった。

 モンすけ、もとい、レイモンド天界執行役総統括長は死神界の実質ナンバー3であり、香川亮は言わずもがなの天界王。その二人がなぜここへ乗り込んできているのか。実はそこが一番の問題だった。二人ともこの武装艇団のマスコットの座を射止めるためにやって来たはずはない。

 そもそも、今回、こんな武装艇団を装う原因は、死神と天界王との間で〝職務の本懐〟に問題が生じたからと言えた。王は死神たちへ〝自分たちが起こした不祥事は自分たちで解決せよ〟と、強く言った。死神たちもそれに応えんが為に奔走していたはずだ。しかし彼らだけでは、もうお手上げとなっている。そんな状況だった。

 それでも天界王は自らの直轄機関を甘やかすつもりはないようだった。だからルートヴィッヒが王宮へ乗り込んでも、激しく対立し、ランベルセにも人質を救うだけならば、という限定的な許可を下した。それほどまでに死神たちだけで事件を解決させたがっていた。

 それを考えると、レイモンドがここへやって来たのは、死神たちだけで解決を望むにしても、その糸口が見い出せない為、苦肉の策としてここを訪れたのだろうと思われる。現状、ランベルセたちが一番、敵に近い所にいる。だからここに居れば情報が得られ、そこから死神たちだけで敵を仕留める何かを見出せるかも知れないという事でやって来たのかも知れない。

 対して天界王は、全てを見届けるつもりなのだろうか。ランベルセらが人質解放以外に手出しをしないか。執行役らが自らの手でその本懐を遂げる事が出来るのか。

 だからランベルセは一同の前で、あえて、改めて今回の目的を明示し、その承諾を求めた。一見、ふざけている者、茶化す者ばかりの食わせ者集団ではあるが、その実力と頭の良さは計り知れない。彼らは一人で自ら解決に乗り出そうとすれば、おそらく出来てしまうだろう。

 だがそれは、手段を選ばず、常識や規則、それどころか良識などもお構いなしに、という怖ろしい手段を用いての話だった。

 ゆえにそれを防ぐため、釘を刺す。それが重要であり、ランベルセの役目でもあった。

「わかりました。皆さん、快く私の策へ加担してくださるのですね」

 ランベルセはフッと小さく息を吐く。

「では全員、これから実際にプリン武装艇団で思いきりやって頂きたいと思います。次なる目標は――そうですね。まずは一世界を落とします」

 彼は一同をもう一度見渡した。

「敵は人間界で、人質と夜送舟艇を交換などと執行役達に言ってきている。しかし我々はそんな事、知った事では無い。やりたい放題を実行します」

 奴らのペースに巻き込まれず、こちら側から巻き込む。

「どうするの?」

「手ごろな世界を一つ、我々プリン艇団のモノにする。……妖魔界辺りが妥当ですね」

 ランベルセは立ち上がると、自らの神力を纏わせる。それは黒い光となって全身を包み込んだ。彼は光の中で、その出で立ちを変化させていく。

「ふーん。君も衣裳替えするの? それなら私も違うコスチュームにしよっかな~」

「親子で、こすぷれ、というのが好きなんですねぇ」

 元々身につけていた膝丈の上着ジャケットや幅広い布を首に巻き付けたネクタイなどは、デザイン的に大きな変化はさせていない。上流貴族の格好のままだった。しかし、その生地の色を全て艶やかさの映える黒、漆黒へと変えた。ズボンも、腰に締めたベルトに至るまで。ただ、服に付いているボタンやベルトの金具などは、ややオレンジ色掛かった金色をしている。それが漆黒の中に豪奢な印象を与え、重厚感のある雰囲気を作り上げた。

 そして完全に黒い光が収まった場所には、濃い灰色の髪と、唯一変化をさせていない純白の羽を背に持つ人物が立っていた。顔かたちも特に変えてはいない。だが無表情であり、面持ちは心なしか冷たい印象を醸したつもりだった。

夜送舟艇のプリン艇団 第4章の挿絵

「ラ、ランベルセ。お……怒ってませんよね?」

「はい?」

「悪党一味の頭目としての演出なのか」

「まあ」

 小動物たちにはすぐに効き目があったようだ。彼らは若干恐れているようで、首をすくめながらランベルセを見上げていた。むしろネズミの方は、日常的に彼のこのような冷やかな顔や視線にさらされる事が多いため、本気で恐れを抱いているのかも知れない。

「パルティシオン。プレンティスの為にとはいえ、あまり無茶をしないで欲しい。他世界の侵略というのは少しやり過ぎじゃないかな」

「アレックス。その点は問題無い。犠牲は最小限。いや、犠牲とは、被害を受けたものが痛みや苦しみなどを感じた場合のみに犠牲というもの。そうでなければ問題は無い」

「どういう事だろうか。しかし君は他空間との調停役を司る外事職、その長だろう……」

「まあ、心配は要らない。プレンティス救出の作戦遂行は全て私に一任したはず。まかせて欲しい」

 不安でいっぱいの表情をさせている幼なじみにも、ランベルセは表情を緩めることなく「では以降、私に従って頂きます」と、簡潔で、しかし要点は細やかにまとめられた作戦内容を、ランベルセは速やかに全員へと言い渡した。