天界・てんかい
天界王や貴族、 世界の生死や魂の循環を管理する者たちが暮らす世界。 政治や行政の中心でもあります。
BEFORE DEPARTURE
天界、死神、神々、魔法、貴族、そして夜送舟艇。
初めて読む方が迷子にならないための、
ネタバレなし・出航前ガイドです。
ようこそ、『夜送舟艇のプリン艇団』へ!
この物語には、天界の政治、死者の魂、神々、 魔法、貴族、異世界――と、 少々ものものしい言葉がたくさん登場します。
「えっ、難しそう……?」
大丈夫です。 全部覚えてから読む必要はありません。
命や世界の秩序をめぐる真剣な場面のすぐあとに、 お菓子や家族や些細な一言をめぐって、 大人たちが全力で揉め始めることがあります。
故障ではありません。 仕様です。
その激しい温度差も含めて、 どうぞお楽しみください。
『夜送舟艇のプリン艇団』では、 大きく三つの世界が登場します。
天界王や貴族、 世界の生死や魂の循環を管理する者たちが暮らす世界。 政治や行政の中心でもあります。
私たちの世界に近い、 人間たちが暮らす世界。 天界や人裏界の住人が訪れることもあります。
魔法や魔道に深く関わる世界。 強大な魔道士たちも存在し、 天界とは異なる文化や力の体系を持っています。
この物語で少し戸惑いやすい言葉のひとつが、 死神です。
名前だけ聞くと、 「人の命を奪う怖い存在なのでは?」 と思うかもしれません。
しかし、この世界の死神は、 基本的には世界の生死と魂の流れを管理する側の存在です。
死者の魂を正しく送り、 生命の循環が乱れないよう働く、 非常に重要な役目を担っています。
役職名がたくさん出てきても、 「ものすごく責任の重い公務員みたいな人たちなんだな」 くらいで読み進めて問題ありません。
『夜送舟艇のプリン艇団』には、 風神、大地の神、など、 複数の「神」が登場します。
「神が何人いるの!?」 と思っても正常です。
この世界でいう「神」は、 必ずしも唯一絶対の創造神という意味ではありません。
特定の力、役目、属性などを受け継いだ者が、 「神」と呼ばれる場合があります。
そのため神なのに誰かに仕えていたり、 王に怒られたり、 家庭があったり、 普通におやつを食べたりします。
そしてタイトルにも登場する、 最重要アイテム。
夜送舟艇(やそうしゅうてい)
夜送舟艇は、本来、 死者の魂を運ぶために造られた特別な船です。
非常に巨大で、非常に重要で、 本来ならば軽々しく扱ってよい代物ではありません。
世界の生死に関わる、 神聖な箱舟。
ここまで読むと、 「なるほど。きっと荘厳で厳粛な物語なんだな」 と思われるかもしれません。
その気持ちは大切にしてください。
できれば、 そのまま本編へお持ちください。
つまり、 「プリンという名前の船」 ではありません。
なぜ世界の命運に関わる物語で、 突然「プリン」などという単語が出てくるのか。
それについては、 ぜひ本編でご確認ください。
この作品では、 本名、称号、家名、人間界で使う名前、 親しい者だけが使う呼び名など、 一人の人物が複数の名前で呼ばれることがあります。
そのため、 「また新しい人が出てきた!」 と思ったら――
という場合があります。
すべてを最初から暗記する必要はありません。 「この名前、どこかで見たような?」 くらいで大丈夫です。
登場人物は多いですが、
最初から全員を覚える必要はありません。
また、もう相当なハルナマスターの方は、ランベルセ公爵やルートヴィッヒ様、カルス、などの名前を見て
「知ってる~」と、ニヤニヤしてください。
天界王を補佐する高位の貴族であり、 優秀な官僚。 非常に真面目で責任感が強い苦労人です。
ランベルセ公爵の父。 かつて天界で名を馳せた強力な神術使い。 能力は一級品ですが、 扱いやすさとは別問題です。
人裏界でも屈指の力を持つ大魔道士。 強大な力と高い判断力を持つ一方、 日常では妙に生活感があります。
天界を統べる王であり、風の神。 世界規模の責任と強大な力を持っています。 常に威厳があるかどうかは別のお話です。
天界の執行役たちをまとめる統括長。 冷静で厳格な人物ですが、 少々特殊な事情を抱えています。
天界執行役の中でも非常に高い地位にある人物。 温厚で慈悲深く、周囲からの信頼も厚い人物です。
『夜送舟艇のプリン艇団』には、 とんでもない騒動がたくさん起きます。
言い争いもします。 暴走もします。 妙な勘違いもあります。
ときには、 「この人たち、本当に世界を任されて大丈夫なの?」 と思うかもしれません。
政治、魔法、戦闘、行政、外交、危機管理。 本気で仕事をすれば、とても強い。
問題は、 家族、友人、恋愛、お菓子、意地、私情などが 絡んだ瞬間です。
この物語の笑いの多くは、 「能力がないから失敗する」のではなく、 「能力はあるのに、人間関係だけ妙に不器用」 というところから生まれています。
はい。
むしろ、どうぞ。
この作品では、 世界の秩序、死者の魂、政治的判断、 戦闘、家族への想い。
そうした真剣なテーマと、 「なんで今それを言うんだ」 という出来事が、 同じ物語の中に共存しています。
笑った直後に真剣になってもいい。
真剣な場面で、 「いや、それはおかしいだろ!」 と笑ってもいい。
その振れ幅ごと、 楽しんでいただければ幸いです。
ここまで読んでくださった方へ。
最後に一つだけ。
全部覚えなくて大丈夫です。
天界があって。
人世があって。
人裏界があって。
死神は悪者ではなく。
神が何人もいて。
夜送舟艇という、とても大切な船がある。
そして――
ものすごく有能なのに、 どこか困った人たちが乗り込んでくる。
それだけ分かっていれば、 準備は十分です。
分からない言葉が出てきても、 「たぶん偉い人なんだな」 「たぶんすごい魔法なんだな」 くらいで読み進めてください。
必要なことは、 物語の中で少しずつ分かっていきます。
『夜送舟艇のプリン艇団』、出航です。