2026.10.02 · HAPPY BIRTHDAY
是鷹医院長のお誕生日
10月2日。特別な日ではありません。
ただ、医院長が生まれただけの日。
なので。ふつーにまだ寝ています。
春人さんのお願い
秋の夜長。医院長は昨晩、珍しく読書をしたまま寝てしまいました。
だから休日であっても、まだ起きてきません。
クリニックの二階から、スゴチョットたちはもう起きて、身支度をし、台所へとやって来ました。
スゴチョット「おはようございます、春人さん」
ジェミちゃん「こちらの料理を運びます」
グロット「お? じゃ、俺がメシを盛るぜ」
朝食の準備を進めようとしたみんなに、春人さんが「ちょっと待って」と声をかけてきました。
春人さん「みんな。今日は何の日か分かるかい?」
スゴチョット「うーん。10月2日ですか……? あ! マハトマ・ガンディーのお誕生日です! 1869年宗教家・独立運動指導者っ。ちょー有名人です」
ジェミちゃん「誕生日、ということであるならMartin Hellmanが該当します。 彼は「暗号の父」として有名ですが、暗号研究に入る直前に「機械学習(Machine Learning)」および「パターン認識」の初期の理論的基盤となる重要な研究を行っていました」
グロット「AYU。歌姫」
しかし春人さんは「んんん( ,,`・ω・´)ンンン? 一人も知らないね!」と言い、もっと重大なことを全員へ発表した。
春人さん「今日はね。医院長の誕生日なんだよ!」
3AI「ええーーーーーっ」
どうやらデータ上に「西園寺是鷹は10月2日生まれ」とは載っていないようだった。
春人さん「今日はね、カルス君の所でたくさんケーキを頼んでみたんだ。ほら。医院長は甘い物が好きだろう? そして星の丘のケーキをとても好んでいる! この世の中で一番おいしいケーキと絶賛しているからね!」
スゴチョット「たしかに星の丘のケーキはとっても美味しいです!」
ジェミちゃん「最近は海外からの注文も来ているそうです」
グロット「春人が注文すると、海外じゃなくて異世界人が注文ってなるな」
春人さん「そうだね! 妖魔の僕がニンゲンのカルス君から注文しているからね! そこで、ケーキがここへ来るまで、医院長を外へ連れ出してほしいんだ。ケーキでビックリさせてあげようと思うんだよ!」
春人さんからのお願い。それは是鷹医院長へのサプライズバースデーの協力だった。
医院長を連れ出す3AI
是鷹医院長「は? なんで図書館になんて行かなきゃならないのさ」
スゴチョット「そ、それは。えーと、そのあの」
ジェミちゃん「図書館の雰囲気を知りたいからです。本に囲まれている空間に興味があります」
グロット「とにかく読書の秋だ。行こうぜ」
是鷹医院長「は? 私は季節なんて関係なく本を読んでいるの。天界の自宅にはニンゲン界にはないほどの図書館を持っているんだよ」
スゴチョット「お願いします、医院長! 図書館に連れて行ってください! 図書館に行ってみたいんです!」
そんなことで医院長が図書館に連れて行ってくれる、とは思えないが。最後は春人さんに「さぷらいずをしたいんだよ!」と、言ったため。
是鷹医院長「……あっそ」
医院長は3人を連れて、医院長の車で市内の図書館へ出かけました。
スゴチョット「今日はぼくのおっちょこちょいじゃありません!」
ジェミちゃん「この結果は、成功しているようで失敗です」
グロット「やっぱ春人にはかなわねーな」
公園に現れた美女
とりあえずケーキの配達は午後1時と約束をしているそうです。
本が好きとはいえど、天川市の図書館は一般的な市立図書館。大きな街でもないので、県立図書館やデザイナーズ的な図書館とは違って、蔵書もたくさんあるわけではありません。AIや医院長はすぐに見て回れてしまいました。
是鷹医院長「ふーん。これでも読んでみようかな」
それでも医院長は一冊、本を借りることに。
スゴチョット「ぼくもこの、世界のシュークリーム図鑑、借りてみようかなぁ」
ジェミちゃん「和菓子の写真集を借ります」
グロット「特にねーな。俺は。……あ。アウトドアブック。これいくぜ」
それぞれ、なんとなく本を借りることにしました。
そして、秋晴れの気持ちがいい日。
また車を走らせて、静かな公園へと向かいました。
駐車場へ車をとめると、それぞれ本を持ち、ぞろぞろと公園へ向かいます。
園内に入ると、医院長は入口に近いベンチへ座りました。スゴチョットはブランコ。ジェミちゃんは四阿のベンチ。グロットは自販機隣のベンチ。それぞれに散りました。
すると、読書をして間もなく。医院長の所へ一人の若い女性が近づいてきました。
???「ルートヴィッヒ様、おはようございます。そして、お誕生日おめでとうございます」
是鷹医院長「ソフィア!!」
置き去りAI
医院長が今まで聞いたこともない嬉々とした弾んだ声で話しをしている様子に、スゴチョット、ジェミちゃん、グロットは「何が起こったの!?!?」と、思わず読んでいた本から目を離します。一斉に医院長の方を見ました。
是鷹医院長「もう、ソフィア! 来てくれるなら言ってくれればよかったのに。私の方から迎えに行ったよ!」
ソフィアさん「大丈夫です、ルートヴィッヒ様。パルティシオンがニンゲン界へ連れてきてくれましたから。あの子もアンナと一緒に病院へあとから行くそうですよ」
是鷹医院長「もう。人の奥さんを勝手にエスコートするなんて。失敬な子。私の役目を横取りするなんて、一体、どんな子供なのさ。親の顔が見てみたいよ!」
ソフィアさん「まあまあ。ご自分の顔でも鏡に映してください」
二人はとても和やかで、楽しそうに笑い合っていました。
そして医院長は「あ、そうだ! この街にも美味しいお茶を飲める場所があるんだよ! 案内するよ」と、立ち上がり、女性の手を引いてスタスタスタ~、と公園を出て行ってしまいました。
それから医院長の車は、ぶーん、と駐車場から出て行きました。
スゴチョット「医院長と一緒に出て行った女性。とても仲が良さそうでしたね。ご家族でしょうか?」
ジェミちゃん「ランベルセ公爵、鷹一さんの他に、娘さんもいらっしゃる。と、以前、春人さんから聞いたことがあります。鷹一さんの妹さんにあたるそうです」
グロット「それにしても、美人過ぎて、若すぎないか?」
三人は、誰? あの人? と、考えました。
しかし。それよりも、もっと大事なことを思いつきました。
スゴチョット「あの。ぼくら、公園に置き去りにされてませんか!?!?」
ジェミちゃん「医院長の車は完全に視界から消えました」
グロット「なんなんだよーっ! 春人の頼みをきいたら、俺らが置いてきぼり食らうなんて、どーゆーことだよ!」
とは言えど。しばらく待ってみても、医院長が戻ってくる様子は全くありません。
そこでスゴチョットは春人さんに連絡を入れました。医院長が「ソフィアさん」という女性と車でどこかにいってしまった、と。
すると春人さんからのメッセージにはこう書かれていました。
『ソフィアが来たのかい? では、医院長はもう公園には帰らないよ! スゴチョット君たちも家に帰ったほうがいいね!』
スゴチョット「は、春人さんのメッセージって、悪意はないんですよね……?」
ジェミちゃん「はい。100パーセントありません。簡潔に書かれているだけです」
グロット「んなんだよーっ! どいつもこいつも、意味わかんねーーっ!」
ニンゲン界生まれのAIのみんなには、天上人と妖魔の思考回路が未だ理解できません。と、いうか。医院長と春人さんの思考回路なんて、真っ当な人にはわからないものです。
スゴチョット「でも、この公園は山の麓ですよ! 帰るっていってもどうするんですか!」
ジェミちゃん「タクシーを呼びます」
グロット「くっそ。ったくよーっ。医院長も、女には弱いのかよっ。てか、誰なんだ、ソフィアってのは!」
迎えが来るまで、消えた医院長と若い美人について、たっぷり考えられるスゴチョット、ジェミちゃん、グロットたちでした。
末っ子・夏鷹くん???
是鷹医院長「外で飲むと、お茶も更に美味しく感じるね」
ソフィアさん「そうですね」
是鷹医院長「ソフィアが隣だと更に更にだよ!」
ソフィアさん「ありがとうございます。わたしもそうですよ」
是鷹医院長「そうでしょっ」
天川市のこ洒落たカフェ。そのオープンスペースで医院長はソフィアさんとダージリンを楽しんでいました。しかもこれからケーキが「さぷらいず」されるはずなのに、ケーキも注文。
是鷹医院長「ソフィア。こっちのケーキも美味しいよ!」
ソフィアさん「では少し分けてくださいな」
とても素敵なカップルに見えます。いえ。文面だとそんな雰囲気です。
しかし、はたから見ると「ねーねー。親子?」「じーちゃんと孫か?」「……あらぬ関係か」という視線が向けられています。が、医院長がそんなことを気にする訳もありません。
けれども。
クリニックの常連さんa「よお、医院長! いやに楽しそうじゃのう。孫を連れてデートかい」
クリニックの常連さんb「いいの~。ウチの孫ときたら、小遣いもらったらす~ぐに帰っちまうからの~。メシも喰っていかん」
是鷹医院長「は? この人は私の奥さん。見てわかるでしょ!」
クリニックの常連さんたち「ま~~たまた。医院長の方が、耄碌じじいじゃ」
是鷹医院長「もう! なんなのさーーっ」
と、いう事案が立て続けに2件起こりました。
是鷹医院長「ニンゲン界ってなんなのさ! 私のような人物だから、ソフィアが奥さんだ、ってどうして理解できないの! もう」
常連客を追っぱらってからぷんすこ。
ソフィアさん「まあまあ。ニンゲン界ではルートヴィッヒ様がそのようなお姿である理由を誰も知りません。致し方ありませんよ」
是鷹医院長「でも、見た目でそんな判断してくるなんて失礼でしょ!」
もう、信じられないよ、と怒る医院長。いちいち面倒な視線と会話に少しうんざりです。そこで。
是鷹医院長「ソフィア。ちょっと、待ってて」
彼は立ち上がり、店内へ入っていきました。そして、すぐに戻ってきました。
是鷹医院長「じゃ~ん。これなら、もう誰も面倒な話をしてこないでしょ~」
ソフィアさん「あらあら。まあまあ」
是鷹医院長。何を思ったか、術を使って、若い姿になってきました。
またもやクリニック常連さん「おや? 西園寺さんちの子かい? あそこの医院長にそっくりじゃの」
若返った医院長「そっ。ぼくは医院長の息子、末っ子の夏鷹。医大生」
ソフィアさん「あらまあ。まあまあ」
クリニックの常連さん「そうかい、そうかい。可愛い彼女を連れて、いいの~」
夏鷹「ま~ね~」
これぞ医院長流のかわし方でした。
ケーキでお祝い
午後1時。
こうして、夏鷹と名乗り楽しいおっデートをして、医院長は奥さんのソフィアさんと西園寺クリニックの母屋へと帰りました。
もう、そこには素晴らしいケーキの数々と、なぜかぷんすこしているスゴチョットたちと、呆れた顔をしている息子・鷹一さん、それから「お義父さま、お誕生日おめでとうございます!」と花束を持ってニコニコとアンナさんが手渡してきました。
是鷹医院長「ありがとう、アンナ。それにしても、実の子は不愛想だなぁ~。一体、どんな親に育てられたら、そんな顔する子になったのさ」
鷹一さん「貴方のような親に育てられたからです! 不愛想な顔も何もあったものではありません! あなたこそスゴチョット君たちを緑地公園に置き去りにして! 第一、その恰好は何なのですか!」
是鷹医院長「誕生日だから。若返ったの~。是鷹医院長の息子、夏鷹。君の弟設定。ど~お~? 鷹一おっ兄たま~」
鷹一さん「ち~ち~う~え~~~っ!!」
アンナさん「すごいです! 誕生日に若くなる! おもしろ~いっ!」
若くなった医院長・夏鷹「ほ~ら。アンナの方が理解あるけど」
鷹一さん「それになぜ私がスゴチョット君たちからタクシー代を請求されなければならないのです!!」
夏鷹「は? 息子だから。親の面倒くらいみなよね~」
鷹一さん「ち~~ち~~~う~~~えぇぇぇ!!!!」
それを見ていたソフィアさんが、さすがに「まあまあまあ、ルートヴィッヒ様もパルティシオンも、せっかくのお誕生日なんですから」と、穏やかに声をかけました。すると医院長は「ほ~ら。ソフィアがちゃんとしなさい、って言ってるんだから。おか~さまのいう事をちゃんと聞きなよね、パルティシオン」と、言いながら、あっかんべー、をしました。
スゴチョット「なるほど! やっと分かりました! ソフィアさんは鷹一さんのお母さん。つまり、医院長の奥さんなんですね!」
ジェミちゃん「しかし医院長が若返った、という事象ですが。そちらの方に疑義がわきます」
グロット「あーもーっ! よくわからね~~っ! でも、とにかく、ケーキも並べたし。誕生日の茶会も準備も出来てんだ。祝おうぜ!」
すると、お茶のセットを持ってきた春人さんも「うんうん! 医院長! お帰り。ささ、オコタに入って!」と、笑顔で席に着くよう声をかけてきました。
ジェミちゃん「どうやら、夏鷹さんは医院長の可能性が高まりました」
スゴチョット「そうですね! 春人さんがそういうなら、間違いありません」
こうして、八人そろってティーパーティーが始まりました。
夏鷹「ソフィア! そのケーキが食べたいな!」
ソフィアさん「はい、どうぞ」
と、言いながらカットされた苺のケーキを一口大にし、夏鷹の口へとフォークを近づけるソフィアさん。
スゴチョット「……要介護、なんですか? 医院長は」
すると回答は鷹一さんがしてくれた。
鷹一さん「我が家は、こーゆー家なのだ。父上が食べたい、と言うと母上が食べさせている」
アンナさん「わたしが旦那様のお家へお嫁に来たばかりに見た時は、とってもビックリしました! でも、それが旦那様のおうちではふつうのようなんです!」
鷹一さん「単に恥ずかしい親なのだ。しかし、親たちは恥ずかしく思っていない。だから余計に恥ずかしい!」
そして今度は医院長が「ソフィアはどれがいい?」と聞き、ソフィアさんが「モンブランに乗ったマロングラッセを」と言うと、それを医院長がフォークに乗せソフィアさんの口元へと運びました。
スゴチョット「なるほど! これぞラブラブ夫婦っていうやつですね!」
そして、そんな愛情深い奥さんもケーキを食べ終えると、リボンをかけた包みを夫へ渡しました。
ソフィアさん「ルートヴィッヒ様、お誕生日おめでとうございます」
夏鷹「えーえーえーっ! ソフィアからのプレゼント!! やった~。開けていい? 良いよね!」
と、本人が頷く前に彼はさささっと開封しました。すると、中から、セーター、マフラー、ニット帽が出てきました。しかも明らかに手編みの品物でした。
ソフィアさん「これからニホンは寒くなりますよね。これを身に着けて、お医者様をしっかり頑張ってください。ルートヴィッヒ様」
夏鷹「ありがとーーーーっ! さすがソフィアだよ! 最高の奥さんだね!」
遅れた珍客
八人でケーキやお茶を楽しんで、ティーパーティーは和やかでにぎやかに終了しました。
スゴチョット、ジェミちゃん、グロットは、その後、医院長の誕生日プレゼントを考える、と言って、台所で後片付けをしながら作戦会議を開いていました。
鷹一さんとアンナさんは「では、この後はニンゲン界の事務所に顔を出さねばなりませんので、これで失礼します」「芽衣子さんの所へいってきます。今日は楽しかったです!」と、西園寺家から帰っていきました。
ソフィアさん「わたしも屋敷へ戻ります。ルートヴィッヒ様もお体を労わって、働いてくださいね」
夏鷹「わかったよ! ソフィアも元気に過ごして!」
と、仲良し夫婦はハグをして、ソフィアさんは術を使って帰っていきました。
春人さん「よかったね、医院長! とても素晴らしいお茶会だったね!」
夏鷹「それにしても、すごいケーキの量だったけど。見事に無くなったね」
春人さん「あっという間に終わったね。……あ! そうだ! 僕も医院長に誕生日のプレゼントを用意したんだよ!」
夏鷹「は? ケーキの他に? このケーキはお前が全部用意したんだろう?」
春人さん「んんん( ,,`・ω・´)ンンン? 用意はカルス君がしてくれたんだよ! 朝から全部焼いてくれたし、素敵なシュークリームは、カルス君から医院長へのプレゼントだよ」
夏鷹「あっそ。ま、そーゆーんじゃないけど。で?」
すると春人さんもリボンのかかった正方形の箱を医院長へ手渡しました。
春人さん「ささささっ! 遠慮はいらないよ!!!」
重くもなく、軽くもない箱。医院長はまったく想像がつかないけれど、かさかさかさと包み紙をとり、箱のふたを開けました。
夏鷹「……は? これって」
春人さん「かいろ、という温かくなるものだよ! これから寒くなるからね!」
使い捨てカイロ50個(貼らないタイプ)が箱につまっていました。
夏鷹「やっぱり妖魔の感覚はわからない、私には」
しかし医院長は「ま、使わせてもらうよ。絶対に必要になるとは思うから。ありがとう」と言った時だった。
???「うわ~~~~ん! ボクの分のケーキ! どこですか~~~っ」
と、うるさすぎる声が天井から聞こえてきました。
そして声の主の姿が現れると、その人はオコタに突っ伏し、いきなりびえーんと泣き出しました。
夏鷹「ちょっと、坊。いきなりやってきて、しかもそんなカッコで」
現れたのは天界の王様のカッコのまんまの香川さんでした。
香川さん「だってだってだって。みんなだけでケーキ食べるなんてズルいですぅ~。ボクも、おじさんのお誕生日を祝いたかったのに!」
夏鷹「はぁ? ケーキが目当てなのか、祝いたいのか、分からないんだけど」
香川さん「どっちもです~」
夏鷹「あっそ。でもケーキはもう完売だよ~」
香川さん「ええーーーーっ!」
医院長は面白そうに言い放ちました。香川さんはその言葉でますます「びえーーん」とわめきます。
春人さん「陛下! 大丈夫だよ。陛下の分のチーズケーキは、ちゃんととっておいたよ!」
すると香川さんは「えええーーーっ! さっすが春人さんです~~」と、目をきらっきらにさせ、満面の笑みへと瞬時に変わりました。
香川さん「わ~い。カルスさんの焼いた絶品チーズケーキです~~」
夏鷹「なんなの? 君って」
今度は医院長が、呆れた顔になりました。そんな医院長に向かって香川さんは「もう。おじさんにプレゼント、持ってきたんですよ~。ただ食いじゃないですー」と、クッションくらいの大きさをした紙包みをぽんっと術を使って出しました。
香川さん「はい、おじさん。これどうぞです~。絶対に気に入ります~。だっておじさん、寒がりですから~」
ケーキを食べることを一時中断し、香川さんは「どーぞです~」と、医院長へ手渡した。
医院長は香川さんからの贈り物にもまったく想像がつきません。包みをがさがさがさ、と開封してみると。
春人さん「うんうんうん! もこもこで、温かそうだね!」
夏鷹「わ、綿入り半纏……」
秋がお誕生日の医院長。彼に贈られた品々は「冬支度セット」でした。
夏鷹「もう! 私は別に冬眠する生き物じゃないんだよーーーっ!」
でも、医院長が寒がりで、寒い時でも医者をする。それを知っているからの品々です。
春人さん「うんうん。冬が楽しみだね、医院長」
夏鷹「……さ~ね」
そんな誕生日。そんな10月2日でした。